2006.06.01

自殺と人口減少

 警察庁の自殺統計が発表になりました。8年連続で自殺者が3万人を超えました。しかも、7割が40代以上ですが、30代は過去最高のようです。性別でも、7割が男性で、依然として、男性の自殺者は多いですね。先日も、30代の男性が両親を殺して自殺したり、30代の女性が子どもと餓死心中を図る等しています。30代は今後、生きづらさ世代の中心になってしまうのだろうか(私も30代ですね。

自殺、8年連続3万人超 経済が動機7756人 2006年06月01日11時40分  昨年1年間に全国で自殺した人は3万2552人で、前年よりも227人増え、8年連続で3万人を超えたことが1日、警察庁のまとめでわかった。統計を取り始めた78年以降で4番目に多い。動機では「経済・生活問題」が7756人で全体の約4分の1を占め、高い水準を維持している。  動機は遺書や生前の様子など家族らの証言をもとに分類したという。  負債や生活苦など「経済・生活問題」の自殺は90年代前半まで1000〜3000人で推移していたが、経済成長率がマイナスに転じた98年に倍増し、以降は倒産や失業に絡む自殺が相次ぎ6000人を超え続けている。昨年は前年よりも191人減ったものの、4年連続で7000人を超え、景気回復が国民全体に浸透していないことがうかがえる。  動機別の最多は「健康問題」で、前年比228人増の1万5014人で全体の半数近い。「家庭問題」は3019人、「勤務問題」は1807人、「男女問題」は809人、「学校問題」は233人と続いた。  性別では男性2万3540人、女性9012人と男性が全体の7割を占めた。年代別では60歳代以上が最も多く3割を超える1万894人。次いで、50歳代が7586人、40歳代が5208人と、中高年が目立つ。19歳以下は608人で、小学生は7人、中学生は66人、高校生は215人だった。  遺書が残っている人の動機・原因を年代別でみると、19歳以下と30歳代、60歳代は「健康問題」、20歳代と40歳代、50歳代は「経済・生活問題」がそれぞれ一番多かった。  http://www.asahi.com/life/update/0601/004.html

 一方、合計特種出生率は過去最低。人口減少に拍車がかかっています。晩婚化だけでなく、子どもを産む数が減っていることが原因とされています。子どもを育てるのに費用がかかるという経済的な現実もあるだろうし、子どもに希望を託せられないという心理的要素もあるんじゃないだろうか。

昨年の出生率1.25 過去最低 2006年06月01日17時21分  日本人女性が産む子どもの平均数を示す05年の「合計特殊出生率」が1.25と、過去最低を更新したことが1日わかった。これまで最低だった03年、04年の1.29を0.04ポイントも下回った。年金の財政計算などの基礎となる社会保障・人口問題研究所の中位推計では、出生率の低下は1.31で下げ止まり、その後回復するとされていたが、低下の傾向が予想を上回る勢いで進んでいることが明らかになった。  同日午後にも、厚生労働省が正式に公表する。政府・与党は6月中にも新たな少子化対策案をまとめる方針。政府内では、財政再建に向けた歳出削減改革を進める中で経済的な支援策の拡充などは難しいとの空気が強いが、こうした事態を受けて、与党などで財源の手当てを含めたより具体的な対策を求める声が高まるのは必至だ。  出生率低下の主な原因はこれまで結婚年齢が遅くなる晩婚化や非婚化が主な原因とされてきたが、最近では、結婚した人の産む子どもの数が減る傾向も目立っており、出生率の低下に拍車をかけているとみられている。  こうした影響で、日本の人口は05年から、1年間に生まれた赤ちゃんの数が亡くなった人の数を下回る自然減が始まっている。05年生まれの赤ちゃんは速報値で109万人で、前年よりも4万8000人減ったことがわかっている。  出生率は74年に2.05を記録して以来、長期的に人口を維持できる水準である2.07を常に下回っており、日本の人口は、人口研の中位推計で50年に1億59万人、2100年には6414万人と現在の約半分になると見込まれている。  今回公表されたのはあくまで昨年1年間の出生率だが、過去最低を更新したことで、来年1月にも公表される予定の将来人口推計がこれまでの推計よりも下方修正を迫られる可能性は高い。現役世代の負担などで支えられている年金制度などが今後、見直しを迫られるのは確実だ。

http://www.asahi.com/life/update/0601/006.html

 この2つの数字はなにを示すのか。小泉改革の結果だとも言えるが、それは有権者が望んだことでもある。だとすれば、国民は緩やかな国家の自殺を望んでいるのだろうか。

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2006.01.18

 livedoorの強制捜査に関連して

 livedoorの強制捜査に関連して、某テレビ局報道部から電話で質問を受けました(おそらく、夕方のニュースに使われることでしょう)。

 「どうして地検特捜部は、(新宿歌舞伎町にある)livedoorのサーバーに目を付けたのか?」

 livedoorは本社機能は六本木ですが、登記上は歌舞伎町のようです。公式サイトでは六本木と表示されていますね。wikiでは、今朝までは本社は「〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町2-16-9」となっていたのですが・・・、現在では六本木の住所になっています。

 その歌舞伎町にデータホテルがあり、そこにサーバーがあります。サーバーにはメールの送受信がすべて記録されています。

 そうなれば、今回の証券取引法違反疑惑に関して、メールでやりとりをしていた場合、指示命令系統が明らかになります。堀江さんが誰から相談を受けて、誰に指示をしていたのか。そこに地検特捜部は注目したのでしょう。

 それにしても、なんで、この手の質問を私にするのか。
 「インターネットに詳しい」との肩書きが、この前のニュースで流れたためか?

 ちなみに、ライブドアは株価操作のために、いろいろやってますねえ。
 lhttp://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1642552/detail?rd

 そしてイメージ戦略か、こんな時期に、元アイドルの広報が広報担当に!?
 http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1641692/detai

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2005.11.14

まさに不安な大人たち

母親独圧未遂で逮捕された少女は精神鑑定を受けることになりました。彼女の精神的な疾患の有無、犯行と日記への記述、それらの思考過程にどの程度迫れるかに期待したいと思います。

 さて、精神鑑定を前に、産經新聞は「専門家」の意見を載せました。

 登場する専門家は、いつものように、町沢静夫氏と小田晋氏の二人です。以下を読んでくれればわかりますが、一言で言えば、「自己顕示欲」というキーワードでまとめています。それらの意見を新聞記者に言うときに、質問する側の新聞記者に誘導された可能性は否定できません。しかし、結局は「自己顕示欲」としか表現できないところに、大人のインターネットに対する不安が出ているかなと思います。

 思春期であれば、程度の差はあれ、自己顕示欲は誰もがあるものです。また、ある意味で人は、自己顕示欲は一生涯持っているものです。ブログやSNSがはやるもの、そのひとつなのかもしれません。しかし、ほとんどの人は犯罪を起しません。なぜ、彼女の「自己顕示欲」が犯罪と結びついたのでしょうか?

 いたずらで犯罪予告を書いて、威力業務妨害罪となった例も一緒にしてしまっています。「ちょっとした遊び」だとしても、自己顕示欲型の犯罪と一言でまとめてしまっていいのか。

 彼らにとって、インターネットは不気味な存在である、ということがわかるような分析記事です。

少年犯罪 ネットで犯行誇示 専門家分析…心奥の敵意表出

 母親(47)に劇物のタリウムを飲ませて殺人未遂容疑で逮捕された静岡県伊豆の国市の県立高校一年の女子生徒(16)が、ブログ(日記風簡易ホームページ)に衰弱する母親の様子を記録していたことが社会に衝撃を与えたが、重大な事件を起こした少年や少女がネット上で“犯行予告”や“犯行過程”を書き込むケースが続いている。「過剰な自己顕示欲」「深層心理の中の敵意が表出しやすくなっている」…。専門家の指摘からは、少年たちの「心の闇」の深さが浮かび上がる。(豊吉広英) 
 平成十二年五月、九州自動車道で起きた西鉄高速バス乗っ取り事件。わずか十七歳の少年が起こした凶行への恐怖とともに、少年のネット上での言動が驚きを持って伝えられた。
 「佐賀県佐賀市17歳 ネオむぎ茶 ヒヒヒヒヒ」。犯人の少年が犯行の約四十分前に、インターネット掲示板にこう書き込んでいたことが、事件後に発覚した。警察は“犯行予告”めいたメッセージとみて調べた。
 十五年十一月。家族三人を殺傷した大阪府河内長野市の大学一年の少年=当時(18)=に同行していた交際相手の高校一年の少女=同(16)=は、自身のホームページで、少年と共通の趣味だった奇抜なファッション「ゴスロリ」(ゴシック・ロリータ)に関する記述とまじえ、犯行をこう“予告”していた。
 「いってきます。捜さないで下さい。その方が幸せだから」
 精神科医の町沢静夫氏は「お互いに『これだけやった』という顕示欲の競争が行われているようだ」と分析する。「平成九年に神戸で発生した児童連続殺傷事件の『酒鬼薔薇聖斗』を頂点として、『悪の英雄になりたい』という気持ちがあるのではないか」
 今年六月に高知県土佐市の私立明徳義塾高校の教室で同級生をナイフで刺した少年=同(17)=は、犯行前日に自分のHPで「明日こそ殺してやる」と明確に犯行を予告していた。警察の調べに「他人の日記を見て、自分でもつけてみようと思った」と、ほかから影響されたことを供述した。
 このほかに、いたずら目的でネット上に「犯罪を起こす」という予告を書き込む例にいたっては、全国各地で次々と発覚している状態だ。
 「自分の事件を人々に知られ、報道されることが犯行の目的になっている」。帝塚山学院大教授(犯罪精神医学)の小田晋氏は「情報発信手段が多様化する中、不特定多数に自分の行為を知らせる手段としてネットを利用し、達成感を感じている」としたうえで、「自己顕示欲を満たしたいなら犯行後に自首すればいいはずだが、実際には捕まるのは嫌で、逮捕されれば、否認したり、のらくらと逃げ回る。子供たちの心の内に矛盾する感覚がある」と指摘する。
 一方で、ネットでの激しい書き込み内容と、少年、少女の実像のギャップに驚く捜査関係者も少なくない。河内長野市の事件の少女は逮捕後、関係者から「あなたのホームページに皆が驚いている」と言われ、「あれは冗談ですよ。真に受けたんですか?」と淡々と答えたという。「少女の様子は普通で、真意がどこにあるのか分からなかった」。警察のベテラン捜査員でさえ、凶悪犯罪を起こした少年、少女の実像をはかりかねるケースが出ているほどだ。
 静岡の女子生徒のブログについて町沢氏は、「自己顕示欲だけではない、違うものを感じる。自分の親を殺害しようとし、それを冷静に観察し、書き表すことができるというのは、普通の精神状態ではない。自分が自分ではないような感覚があったのではないか。アイデンティティー(自己同一性)がおかしくなっているような感じを受ける」と驚く。
 一方、小田氏は「同性の親への敵意自体はどの子供にも起き得る。娘の母親への敵意は『エレクトラコンプレックス』と呼ばれるが、通常は強く抑圧されるもの。しかし最近の教育の中で、親への孝行ということが軽視されるようになり、また、尊属殺人に対する処罰が以前より軽くなってきた流れを受け、抑圧してきたバリアが低くなり、心の深層にあった敵意が浮上してきた可能性がある」と指摘している。
     ◇  【ネット上で犯行を“誇示”した主な少年犯罪】
 ■西鉄高速バス乗っ取り事件(平成12年5月)犯行前、「ネオむぎ茶」のハンドルネーム(筆名)で「ヒヒヒヒヒ」とネット掲示板に書き込み。17歳の少年
 ■新宿駅前の刃物突き付け人質事件(13年12月)犯行前にネット掲示板に「今日新宿にて何かが起きる」「人質とって立てこもる」などと“犯行予告”。16歳少年
 ■大阪府の一家3人殺傷事件(15年11月)自身のHPに「いってきます。捜さないで下さい」と書き込み。16歳の少女
 ■明徳義塾高同級生殺人未遂事件(17年6月)「『明日こそ』にならないように、ちゃんと殺そう」とブログに記す。17歳少年
 ■静岡県の母親毒殺未遂事件(17年10月)ブログで、「殆ど動けなくなってしまいました」「原因は解っています。タリウムです」などと母親の“観察日記”を記す。16歳少女(少年少女の年齢は当時)
(産経新聞) - 11月14日3時3分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051114-00000000-san-soci


 

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2005.10.06

ネーミング

 「殺人請け負いサイト」「闇サイト」「ネット自殺」・・・。インターネットをめぐる犯罪が起きると、その犯罪の舞台となったサイトや事件の名前が作られたりします。これらは受け手(読者、視聴者)に分かりやすく事件のありようを伝えるひとつの手段として造語があるのでしょう。しかし、分かりやすさと実態が乖離することもあります。

 「殺人請け負いサイト」は、不倫相手の妻の殺害依頼をしたとして、依頼主の救急隊員の女と依頼を受けた探偵業の男を暴力行為法違反で逮捕。サイトの管理人も詐欺容疑で逮捕された事件の舞台のサイトを形容したものです。しかし、サイトそのものは、管理人の本業である探偵社のものであって、殺人を請け負うためのサイトではない。依頼内容のひとつに「殺人問題」とあっただけだ。殺人請け負いサイトは、他のサイトではあるのかもしれないが、この事件の舞台となったサイトをそう表現するのは、いささか疑問がある。

 「闇サイト」の場合は、違法行為を推奨したり、違法な取引をするようなアングラサイトなのだが、こうしたネーミングをしたら、やはりおどろおどろしい感じはする。しかし、「闇」というと、一般のユーザーとはかけ離れた場所にあるようなイメージだ。しかし、実態は、「闇」というほどのかけ離れた場所にではなく、一般ユーザーでも簡単に検索してヒットできる。たとえば、問題となった「闇の職業安定所」の場合は、「表仕事」「裏仕事」という表現は使っているものの、違法な仕事そのものを指しているわけではない。

 「ネット自殺」は、インターネットで知り合った見知らぬ人たちと集団自殺をすることを指している。しかし、「ネット自殺」という表現になれば、インターネットを使った、あるいは介した自殺というイメージになるが、そうした自殺がネット上の自殺問題ではない。かつて1998年に発覚した「ドクターキリコ事件」は、掲示板の管理人ドクターキリコが、ユーザーに毒物を送った「毒物配送事件」としても知られる。これも、ネットを介した自殺であるので、こうしたケースと重なり合う。私は、「ネット自殺」という言葉を使わず、「ネット心中」と表現している。ちなみに、厚生労働省の研究班では、「Webを介した同時複数自殺」(ネット自殺)と表現。評論家の芹沢俊介氏は、「集合自殺」と使っている。

 ネーミングは事件を分かりやすくさせるひとつの手段である。しかし、分かりやすくさせるあまり、実態と異なる報道をしてしまえば、それは報道被害になり得るだろう。たとえば、「ネット自殺」の報道があると、自殺系サイトが荒らされることがある。しかし、自殺系サイトにも多様だ。そうした多様さを伝えると、わかりにくくなるかもしれない。その狭間で報道する側も揺れていることは事実であろうが、「分かりやすさ」だけを追求してほしくないものだ。

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2005.09.29

あれから一年

 一度だけ会った、愛知県の少年(17)が亡くなってからもう一年になります。彼は、その後亡くなったマリアが私と最後に会ったときに、連れて来た少年でした。彼はどことなく、2003年に「ネット心中」をして亡くなった広島県の少年(18)に似ていました。

 まず外見は家出中ということもあり、二人とも田舎の素朴な少年といった感じで、地味な服装で何度も同じ服を着ているといった感じでした。そして二人とも、最終的な局面では「迷っていた」ことです。上京中の広島県の少年を取材したときに、「生きてみるのもいいかな。それで自伝でも書くとか。でも、(「ネット心中」の相手の)女性がしつこんですよ。もし女性が断って来たら、生きようと思う」と話していた。その後、行方不明となり、発見されたのは数ヶ月後で、白骨化していた。彼のことは報道はされなかった。

 愛知県の少年の場合は、会ったときには取材ではなかったのですが、「僕って、死にそうに見えますか?」と聞いて来た。「外見じゃわからないよ」と言ったのですが、正直、あの広島県の少年に似ていて、ドキッとしていたのです。でも、そのことには触れずにいました。なにか言ってしまって、何かが起きるのが怖かったからかもしれません。そして、マリアとの電話を通じて、少年が最後のマリアへの電話で、「どうしよう!来ちゃったよ」と最後には躊躇していたことがわかりました。

 あのときから一年経ったんだとふと思いました。そういえば、一年前の数日前は、マリアと少年の居場所探しについて電話で話していたことも。結果として、マリアは少年が「ネット心中」をした場所の近くで、やはり同じ「ネット心中」で亡くなった。この一年、私はやはり、インターネットの問題を取材し続けている。

 こうした取材に何の意味があるのか。正直、分からない。でも、その意味を私が考えなくてもいい。誰かが考えてくれる。拙著「ネット心中」や「男女七人ネット心中」が、厚生労働省の報告書に引用されたということは、誰も描いていない世界の現実を私が追っていることを、一定評価されたからだろう。その現実をどう解釈し、インターネットの今後についてどう思うかは別かもしれないが。

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2005.08.14

自殺系サイト連続殺人

 「自殺系サイト」の複数のユーザーを殺害した事件が発覚して、10日が経とうとしています。これまでのところ、3人の殺害が明るみになり、連続殺人の様相を示してきました。各社の報道では、被疑者は容疑を認めており、自供もしているようですので、事件の全体像が徐々にわかってくうとることでしょう。詳細については、web上では読売新聞がまとめていますので、ご覧下さい。

 この事件は、03年から広まりつつある「ネット心中」を利用したものでする。被疑者は、練炭によ集団自殺を呼びかけ、本気の自殺志願者を装っています。その呼びかけに、殺害され人たちは応じています。これは、自殺系サイトが最近、ナンパ目的やレイプ目的に利用されている一面とほぼ同じ心理構造を利用したものなのでしょう。
 自殺を考えている人は孤独感を抱いていることがあります(周囲にどのように見えるかは別として)。そのため、話をしたい、話を聞いてほしい、という気持ちは、他のネットユーザーより強いはずです。だからこそ、最近警戒心が強くなっきている、あるいはサクラが多い「出会い系サイト」のユーザーよりも会える確率が高まります。
 ナンパそれ自体は本人同士の問題ですし、遊び目的だったとしても、性行為などは同意の問題という意味では犯罪性はありません(ただ、そのあり方によっては、心理的なダメージを与えるかもしれませんが)。一方、レイプ目的な場合は犯罪性が強いことは言うまでもない(ただし、自殺志願者のなかには、「自分がどうなってもいい」と考える人も少なくなく、被害届を出すひとはほとんどいないようです)。
 こうしたレイプ被害者の中で自殺願望が強い人のなかには、「どうせなら殺してくれれば良かったのに」と感じてしまう人もいました。この延長上に、今回の事件があったのかもしれません。

 また、今回の事件は、「首を絞めて苦しむ表情に快楽を覚えた」などと供述していることから、マイナーな性癖問題も含んでいます。そうした性癖を持ち合わせていること自体は、インターネットの普及によって、相手を探しやすいことになり、ずいぶん、心理的にも楽になって来たとは思います。「出会い系サイト」の中には、性癖で相手を選択する場合もあるわけです。また,SMサイトの交流も活発になり、性的マイノリティーの人同士の出会いもできるようになってきました。被疑者が作ったサイトもも一時期、SMサイトにリンクされていたことから、一定のチャンスを得ることができたのだと思います。だからといって、今回のような犯罪と性的マイノリティーの問題は区別するべきでしょう(ただし、97年の神戸連続児童殺傷事件の酒鬼薔薇少と同じように、殺害するとき射精をしていたとn情報もあり、こうした性癖は重く見る必要はあるでしょう)。

 さらに、そうした性癖の芽生えるきっかえは、江戸川乱歩の小説を読んでからだといいます。
 この点は、いくつかの疑問や懸念があります。
 もし、これが「バトルロワイヤル」など現代小説だったら、あるいはテレビドラマやテレビゲーム、オンラインゲームの中からヒントをヒントを得た、との供述だったら、マスコミや政治、行政はどのような反応をしめしたでしょうか。おそらくは表現規制の方向にいったことでしょう。だとすれば、なぜ江戸川乱歩であれば、そうした論調にならなかったのか。
 また、声高にはされていませんが、図書館での青少年への閲覧規制が出てこないか心配です。江戸川乱歩だから、というわけではないです。表現と購買、閲覧、貸し出しは表裏一体です。伝える側は、読み手がいてはじめて成り立ちます。それが規制されるということは、表現規制と同じことです。

 いつくか考えることがありましたが、まだ捜査段階で、しかもまだ事実が出てこない部分があるように思われますので、今回はこのへんで。なお、この「自殺系サイト殺人事件」について、感想や思いをお寄せください。ここか、メールをください。

 
 

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2005.02.16

大阪小学校教師殺傷事件で「ゲーム脳」問題復活?

 大阪府寝屋川市の市立中央小学校で、無職の少年(17)が教職員3人殺傷事件が起きました。まだ捜査段階であり、事件そのものの詳細が確定されていませんので、事件そのものについての言及は避けたい。
 しかし、少年がゲーム好きだったことやひきこもりだったことで、ゲームのやりすぎによる思考の問題=ゲーム脳の問題が取り上げられてきている感じがします。いまのところ、ゲーム脳それ自体に触れた報道はまだみていませんが、それに類似するコメントがありました。

刺殺少年が熱中のTVゲーム、15歳未満への販売規制

 大阪府寝屋川市の市立中央小学校の教職員3人殺傷事件で、逮捕された無職の少年(17)が小学生時代から熱中していたテレビゲームは、武器を持って殺りくを繰り返すなど暴力性が強く、ゲーム業界が約3年前から15歳未満への販売を“自主規制”している作品だったことが15日、わかった。
 ゲームは、仮想の街を舞台にナイフや銃でゾンビを倒していくストーリーで、元同級生らによると、少年は小学4年のころからこのゲームに夢中になった。友達に攻略方法を教えるほどの腕前で、中学進学後ものめり込んでいたという。
 神戸海星女子学院大の井上敏明教授(臨床心理学)は「少年は頭が良く、繊細な性格で、幼いころからゲームに没頭するうち、仮想世界と現実を混同したとも考えられる」としている。
 また、関係者などによると、少年は小学校では成績が良かったが、中学では1年の途中から不登校になり、ほとんど学校に姿を見せないまま卒業。一昨年4月から受講し始めた通信制高校も、月1回の初回の面接授業を受けただけで中退した。
 ところが、昨年2月、進学を目指して、以前通っていた塾で再び英語の勉強を開始。周囲に「大学入学資格検定に合格した」と話し、喜んでいたという。
 また、「人が大勢いるところが苦手」と言っていたが、1年前から月1?2回、「思春期外来」と呼ばれる心理カウンセリングを受け、周囲には活発になったように見えた。
?(2005/2/16/03:10 読売新聞 無断転載禁止
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050216ic01.htm

 この読売新聞の記事でのコメントは、これまでもよくある批判ですが、この信憑性や妥当性についてはいまだに賛否両論がある問題で、確信めいた結論が出ていません。ゲームのやりすぎは脳が思考停止状態になるなどの、いわばゲーム脳問題と言えるかもしれません。

 ゲーム脳は、『ゲーム脳の恐怖』(NHK生活人新書)という本が出てから話題となりました。

 ゲーム脳とは日本大学文理学部体育学科教授の森昭雄氏による説で、「ゲームに熱中している人間の脳波にはβ波が出ない場合がある」「この状態の脳波は痴呆患者と同じだとして、脳の情動抑制や判断力などの重要な機能を司る前頭前野にダメージを受けているという説」(wikipedia)だ。
 
 しかし、ゲーム脳という概念は、批判もあります。
 斎藤環氏に聞く ゲーム脳の恐怖
 All Aboutの[ゲーム業界ニュース]ゲーム脳関連記事
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 インターネット上の「児童ポルノ」規制に、絵や漫画、アニメ、ゲームなどの表現規制まで含めようとする動きがありますが、ゲーム脳問題は、同一線上にあるような気がしています。というのは、メディア上の表現が、人間にどの程度影響を与えるのか。その影響は一時的なのか、それとも発達に影響を与えるのか。あるいは、そうした情報を好ましくないと思った人たちへのゾーニングの問題、さらに、国家や自治体が規制すべきかどうか。さまざまな問題が未整理なまま、混在化されている状態にあるのです。

 そうした問題と、個別的に、今回の事件で、ゲームが少年にどのように影響を与えたのか、という問題は別です。たしかに、彼が小学校のころからしていたゲームは「15歳未満禁止」となっていたようですが、彼以外にもそのゲームをしていた子どもはいたはず。ほかの子どもたちはそこまでの行動は起こしていない。影響があったとすれば、なぜ、彼にだけこうして現れたのか。あるいは、ゲームとは別の影響だったのか。まだ分からないことばかりです。

 ただ、分かったことはひとつ。
 池田小学校乱入事件以来、不審者対策をしていたと思われた学校の安全対策が、通用しなかったことだ。しかも、今回は不審者というよりは、OBが訪問してきたわけだ。OBという、ある意味では、近親者がこうした犯罪を起こすときには、現行の不審者対策は無意味だったということなのだろう。

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2004.11.02

香田さんの遺体が発見される

 イラク戦争にからんだ人質事件で、バックパッカーの日本人香田証生さんが監禁されていた。結果としては遺体で発見された。遺体は星条旗で包まれていたという。

 今回の人質事件も、これまで同様に、自衛隊撤退の要求とセットだった。そしてこれまで同様に、「テロには屈しない」「自衛隊撤退はしない」と、小泉首相は早い段階で、武装グループ側の要求をつっぱねた。いわば、誘拐事件で身代金を要求されたのに、「身代金を払わない」と最初から言っているようなものだった。

 今回の人質事件でも、自衛隊撤退はセットにすべきではないでしょう。このことについては、過去の人質事件のときにも述べている。そもそも、自衛隊撤退は、情勢がどうあれ、まずは憲法問題がある。憲法の問題をほとんどクリアしていないにも関わらず、派遣すること自体に無理がある、と私は思っている。そうした国内の政治問題を、そうした武装グループの要求のみで政策判断を変えるのは、自浄能力が欠如しているだけなのだろう。自衛隊撤退要求は、人質事件とは無関係にするべきでしょう。

 では、今回の人質事件について、そうした自衛隊の政治的立場を含めた現段階でどのようにすればよかったのか。交渉ルートを確保できないまま、すすんでしまった結果としての殺害だったと見方が強まっているが、交渉ルートがないのに、拒否的な態度を選択してしまった小泉首相の選択ミスだったように思う。少なくとも、交渉の余地があるような言動をしなければならなかったのではないでしょうか(国家には邦人保護義務があるわけですし)。

 香田さんの足取りが明らかになりつつあります。報道によれば、彼はイスラエルにも寄っています。イスラム世界のひとからすれば、アメリカやイスラエルは「テロ国家」です。日本人はさらに、そのアメリカとど「同盟国」です。「敵対する国家の同盟国の人」であり、「敵対国家に寄ってからのイラク入り」は危険度が高いと言えるでしょう。政府はそうした情報を入手できていたのでしょうか?そうした足取りを含めて考えれば、やはり小泉首相の発言は、危険度をさらに増したとも言えるのでしょうね。

 たしかに香田さんのイラク入りは意味不明なところがあります。バックパッカーとしてイラクに行きたいと思ったとしても、なぜ治安が悪い今の時期だったのでしょうか。ホテルの人も、日本人の宿泊客にもイラク入りを止められたと伝えられています。そのアドバイスを振り切って、今の時期のイラク入りをする衝動はなにがあったのでしょうか。今となってはわかりません。

 しかし、なにか衝動があったとしても、行動としては軽卒だったでしょう。そのことが、これまでの人質事件とは違って、世論の支援が少ない結果となったのでしょうね(過去の人質は、NGOやジャーナリストといった立場の人だった)。そうした軽率な行動を批判するのが、救出劇の前に起きてしまえば、「軽率だから死んでも仕方がない」という論になってしまったのでしょう。

 ただ、理由はともあれ、政府は人命救助、邦人保護を優先するべきなのです。香田さんの個人的な軽率さを避難するのは、生きて帰ってきてからでも遅くありません。邦人保護を優先できなかった(早い段階での「自衛隊撤退はしない」との発言を含む)のは、国家としてどうなのか。そうした政府しか、私たちはもてないのか。

 香田さんのご冥福をお祈り申し上げます。

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2004.09.28

一度少しだけ会った少年がネット心中か?

 先日、知人を介して、18歳の家出少年に会った。中学の頃から自殺願望があり、周囲にはばれないようにしていたと言います。
 しかし、その少年が先週の土曜日に行方不明となっていました。
 知人いわく、「急きょ、相手が見つかった」と。
 会ったときその少年は、田舎から出てきた幼い少年に見え、とても18歳には見えませんでした。家出したのも、バイトしてためたお金を使い果たしたら、自殺するとの話でした。
 「僕、本当に死ぬと思いますか?」
 少年は私にこう聞きました。
 止めて欲しかったのかどうかはわかりません。しかし、正直に、「わからない」とだけ答えました。本当に死ぬかどうかなんて、私にわかるはずがありません。取材として会ったわけではないので、詳しい話は聞いていません。だから、彼がなぜ死のうとしているかはわかりません。当分、死ぬ気はなさそうには見えました。
 知人の話の状況だと、この記事の可能性が高いですが、まだ決まったわけではありません。

 ただ、複雑なのは、彼が利用していた自殺系サイトのなかには、自殺防止のためのサイトがあったことです。自殺系サイトといっても、管理人の立場はさまざまです。しかし、記事の当事者がその少年だとすれば、やりとりで彼は結果として、自殺を実行することを選んだ、ということなのでしょう。
 自殺推進のサイトであれ、予防のサイトであれ、やりとりの結果、サイトの目的の逆となるケースはあります。ネットがあったので自殺した人、ネットがあったので自殺しなかった人…。やはり、ネット以前に、どのような現実の人間関係を築いているかーが、最終的には問われることでしょう。

<集団自殺>車内に練炭、若い男女4人死亡 埼玉の山中

 28日午後4時33分ごろ、埼玉県皆野町三沢の山中で、近くを通りかかった男性から「山の中に車があり、人がいるようなので見てほしい」と110番通報があった。県警秩父署員が駆けつけたところ、ワゴン車の中で若い男性3人と、女性1人が死亡していた。車内に練炭が置かれており、同署は一酸化炭素中毒による集団自殺とみて身元確認を急いでいる。

 調べでは、ワゴン車は3列シートで、運転席に男性が1人、その後ろのシートで男性2人と女性1人が死んでいた。4人とも10代後半から20代とみられ、Tシャツなどの普段着だった。
 最後部のシートがはね上げられ、練炭の入った七輪3個が置かれ、助手席にも七輪1個があった。窓は内側からビニールテープで目張りされていた。車内にはコンビニエンスストアで買ったとみられるおにぎりやパンもあったという。ワゴン車は大宮ナンバーのレンタカーとみられる。【高島博之、岡崎博】
(毎日新聞) - 9月28日21時9分更新

 ※ 本人ということが確認されました。

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2004.04.12

イラクで邦人3人が拘束されたことに思う

 テロが相次ぐイラクで、日本人3人が拘束された。この件についての最初の私の思いは、私自身のサイトにある「てっちゃん@Hatena」で触れた。簡単にいえば、「今回の邦人拘束」と、「自衛隊撤退」の2つの問題を同じ問題として、扱うべきではないということです。

 私の立場を言えば、今回の自衛隊派遣には「反対」です。
 憲法9条の実質的な改憲であり、9条の見直しがされないまま、安全保障に関する明示的な規定もないまま、わが国では有事立法が相次いで制定されました。イラク特措法もその一つであり、自衛隊派遣はその分かりやすい形として浮上していたにすぎません。

 しかしながら、今回拘束された日本人3人は、そうした政府の立場を十分知っていたと思います。さらに、イラク国内外のグループが「日本」や「日本人」をテロのターゲットにしていることも理解していたことでしょう。その理解のうえで、3人はあえて、イラクに入国したわけです。そもそも危険な地域に行くわけですから、リスクもつきものであり、そのリスクは「命を落とす」「拘束される」などがあることは、おそらく本人たちが分かっていたはずです。そのリスクを伴わなければ、戦争取材も、戦地での救助活動はできないわけです。
 
 たしかに、私は邦人3人は救われるべきだと思います。少なくとも3人は、日本政府を代表していない。自衛隊の派遣にも反対だった。しかも、少なくとも2人はジャーナリストの資格で、イラクに入国している。ジャーナリストであるのなら、しかも、自衛隊派遣に反対しているジャーナリストならなおさら、こうした状況にある場合、国家による救済に頼るべきではないと思う。

 もちろん、日本政府の仕事には「邦人保護」があるため、人命最優先になるべきであることはわかる。しかし、今回、邦人3人を拘束しているグループは、実態のつかめない。どこに交渉のチャンネルが存在するかもあいまいで、事実上、中東の衛星テレビ局「アルジャジーラ」がその窓口になっている。しかし、そこで報道される情報も確実とは言えないものばかりだ。事実上、政府が何かをすることがほとんどできない。できないということは、仮に自衛隊を撤退させたところで、邦人保護ができるかどうかも曖昧になる。

 となれば、事実上、政府によるものではなく、アルジャジーラに何を流すのか、が交渉相手であるグループに影響力があるのだろう。たとえば、日本ビジュアルジャーナリスト協会(代表、広河隆一)は、日本政府への声明文も出しているが、イラク国内への働きかけをもしている。つまり、3人の保護に積極的になるのは、戦場取材をするジャーナリストを含む、ジャーナリズム全般ではないか。政府以上に、動く必要があるのではないか。

しかし、特に企業ジャーナリズムの側にその積極性は見られない。戦争が起きれば、フリーにまかせ、社内記者を撤退させる日本の「ジャーナリズム」。いつまでも、フリーばかり危険な場に行かせるのか。そこにフリージャーナリストが戦場取材をする隙があるとえいば、あるのだが。ただ、そうしたジャーナリストたちの仕事を載せる媒体は少なくとも共同作業をしているわけで、戦争とジャーナリズムのあり方をもう一度見直して欲しいと思う。

 こうしたうえで、「自衛隊の即時撤退」は別の問題として考えるべきです。

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