「淫行処罰規定」で歯止めがかけられるのか?
東京都が、18歳未満の青少年に対する淫らな性行為を禁止する「淫行処罰規定」を設けようとしている。これまで同規定がなかったのは、都と長野県だけで、他道府県では、何らかの「淫行」を取り締まっている。都が今回テーマにしたのは、「性行動の低年齢化への歯止め」だという。私は、この条例化には賛成しかねる。
そもそも、なぜ「性行動の低年齢化への歯止め」をしようとするのか。理由はSTD(性感染症)や中絶が10代に多いというデータがあるからであろう。STDや中絶の増加は、「性行動の低年齢化」が理由なのであろうか。
たしかに、その面もあるだろ。しかし、これだ理由での条例化であるのならが、効果という面で考えてみれば分かるように、東京と長野以外の、条例による効果が検証されていなければならない。その効果を示した検証結果を示してから、議論すべきだ。
STDや中絶の増加は、性感染予防や避妊方法によるものだ。低年齢化だけが問題ではない。むしろ、コンドームの装着義務のほうが現実的ではある。なんでも、条例による規制が効果的と思うのはおかしくないか。
「性行動の低年齢化への歯止め」は、STDや中絶の増加を背景にしているが、そのSTDの中でもエイズ感染者・感染者が増えていることもあるのかもしれない。ただ、やはり、「淫行処罰規定」によって、歯止めがかかるとは思えないのだが。かえって、STDや妊娠への罪意識が重くなり、検査に行くことを躊躇させる結果を招くのではないだろうか。
18歳未満の青少年との性行為がアンダーグラウンド化し、かえって危険な面が出てくる。表立ってできなくなる結果、その世代の青少年をマーケットとした援助交際、売買春が裏市場として確立していく危険性や、その世代がレイプされたときに、言い出しにくい環境が生まれることも出てくる。
また、「淫らな性行為」の範囲がどこまでかが不鮮明だ。つき合っていてもダメなのか。付き合い始め、出会い方に問題を位置づけるのか。最高裁判例でも、「「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である」(福岡県青少年保護育成条例違反被告事件 、 昭和57年(あ)第621号、最高裁昭和60年10月23日大法廷判決)とあるが、常に分かりにくさがつきまという。
都も淫行規定、金銭授受に関係なく処罰…4月施行目標
東京都は、都青少年健全育成条例を改正し、18歳未満の青少年に対するみだらな行為を禁止する「淫行(いんこう)処罰規定」を設ける方針を固めた。
都はこれまで、買春などに限定した処罰規定を設けたことはあったが、青少年保護のため、今後は他県と同様、金銭授受の有無にかかわらず規制対象とすることにした。都の方針転換により、都道府県で淫行処罰規定がないのは健全育成条例自体がない長野県だけになる。
都条例に淫行処罰規定を設けるかどうかは過去にも論議があった。知事の諮問機関の都青少年問題協議会は1988年、「性は個人的な問題で、公権力による介入はやむを得ない場合に限られるべきだ」などと答申し、条例改正が見送られた。
その後、援助交際などが問題化し、97年の答申で買春した大人を処罰する改正が行われた。
しかし10代女性の性感染症や妊娠中絶の増加が続いた。周辺県では条例で淫行を摘発できるのに、都内では摘発できないことに対する“不合理”を指摘する声も出ていた。
このため、都は昨年11月、同協議会に条例改正を諮問。今回の諮問では「性行動の低年齢化への歯止め」が中心テーマとなり、大人が青少年に対し、性行動に慎重であるよう促すことを求める努力規定を条例に盛り込むとする答申内容が固まった。淫行処罰規定については、ほとんどの委員が必要性を認め、以前のような議論は再燃しなかった。
都は、24日の答申を経て、2月開会の都議会に改正案を提出し、4月からの施行を目指す。
施行されると、18歳未満の青少年とみだらな行為をした18歳以上の大人には、2年以下の懲役か100万円以下の罰金を科すことができるようになる。都幹部は「東京は繁華街が多いため、一定の効果は期待できる」と話している。
(読売新聞) - 1月23日9時52分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050123-00000301-yom-soci
「性行動の低年齢化への歯止め」は、STDや中絶の増加を背景にしているが、そのSTDの中でもエイズ感染者・感染者が増えていることもあるのかもしれない。ただ、やはり、「淫行処罰規定」によって、歯止めがかかるとは思えないのだが。
エイズ感染・患者増加、初の年間1千人超
2004年の1年間に、新たにエイズウイルス(HIV)に感染したり、エイズを発症して患者となった人は、前年より138人増えて計1114人(速報値)に上ることが26日、厚生労働省エイズ動向委員会(委員長=吉倉広・前国立感染症研究所長)の調べで分かった。
感染者と患者の数が合わせて1000人を超えたのは、1985年に国内1例目の患者が認定されて以来、初めて。同委員会では「異常な増え方。予防や感染防止の呼びかけを一層強化する必要がある」と警告を発している。
同委員会によると、2004年の新規感染者は748人で、前年より108人増加。新規エイズ患者は366人で、同じく30人増えた。感染者・患者とも年々増加を続けており、04年末の時点で、累計で9784人(薬害エイズ患者を除く)となった。
新規感染者の内訳は、男性が669人、女性が79人。男性のうち、約7割にあたる447人は同性間の性的接触によって感染したと見られるという。新たなエイズ患者は、男性が323人、女性が43人だった。
献血時の検査で感染が判明した人は、前年より5人増えて過去最多の92人。保健所に寄せられたエイズに関する相談件数は、約1万2000件増えて約14万2000件に上った。
感染者・患者ともに増加の一途をたどっている現状に、吉倉委員長は「性感染症は、表からは見えないネットワークで広がる側面があり、感染拡大を防ぐのは容易ではない。すぐに結果の分かる迅速検査を普及させて多くの人に検査を受けてもらうなど、早期発見・早期治療につなげなければならない」と話している。
(読売新聞) - 1月26日21時50分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050126-00000013-yom-soci
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